LibreOfficeを会社に導入してみる
お疲れ様です。
山中川男です。
LibreOfficeはご存知ですか?
直訳すると「無料のオフィス」的な意味になります。
そのまんまですね。
今回はこのLibreOfficeについて書き留めておこうと思います。
LibreOfficeとは
LibreOfficeとはThe Document Foundationという非営利組織が支援する無料のオフィスソフトです。
我が国では、一般的にMicrosoft Officeが幅を利かせていますね。
なので、文書ファイルは"ワード"、表計算シートは"エクセル"、プレゼンテーションは"パワポ" と言うように固有名詞が共通言語として認識されています。
近年ではGoogleがそれと同様の目的を有したサービスも広く認識されているので、ローカル環境ではMS Office、クラウドではGoogleのサービス名が定着しているようです。
そんな中、LibreOfficeは全く違う方向性を示しながら常に進化しています。
GoogleやMicrosoftがユーザーの囲い込みに必死になっている中、LibreOfficeはそれに逆行しているのです。
LibreOfficeを使用する理由
LibreOfficeの説明の中で、MicrosoftやGoogleの方向性とは違う方向に進んでいると書きましたが、まさにそれがLibreOfficeを使用する最たる理由なのです。
LibreOfficeはオープンソースかつクロスプラットフォームなソフトウェアです。
会社や組織にオープンソースソフトウェアを導入する理由は過去に書き留めました。
LibreOfficeのデフォルト文書保存形式は公共性の高いODF(Open Document Format)であることはとても重要な要素です。
これは国際標準規格に準じたオフィス文書形式となっています。
会社で導入するメリット
そんなLibreOfficeを会社で使用するメリットは以下のとおりです。
無料で利用できる
無料で利用できるというのは、大きな理由になりえます。
イニシャルコストもランニングコストもかかりません。
MS Officeを利用する場合、永続ライセンス版もサブスクリプション版も費用がかかります。
Googleのサービスも、ビジネスシーンでの利用であれば利用料金の支払いが必要になります。
ライセンス管理が不要
社内システム保守担当を悩ます業務として、各IT資産のライセンス管理があります。
取引先が多ければ多いほどライセンス管理の負担も増加します。
オープンソースソフトウェアであれば、基本的にライセンス管理は不要です。
業務を一つ減らせますね。
オープンソースソフトウェア同士の連携
これについてはいかに柔軟な調査を行うか次第ですが、オープンソースソフトウェア同士の連携も可能です。
例えばLibreOfficeの場合・・・
基本的にPCにインストールして使用しますが、オンラインで共同編集ができると、より活用の場が広がっていくと思います。
そんな時は、別のオープンソースソフトウェアと連携して実現することが可能です。
よく用いられる連携方法として、Nextcloudとの連携があります。
これを行うと
・ファイル共有
・コミュニケーション
・オフィスファイル共同編集
・スケジュール管理
・メール
等々の作業が一つのプラットフォームで実現できます。
なんとなく、Google Workspaceに近い状態に出来ますかね。
文書保存の適正化
これも大事な要素です。
一般的にMicrosoft Officeの標準保存形式はOOXML (Open XML)と呼ばれるMicrosoftの独自規格です。
これは、基本的にMicrosoft Officeの進化とともに変化するファイル形式です。
言ってしまえば、MS Officeのために常に最適化されるファイル形式です。
これを喜んで使用していると、いずれ問題が発生するリスクがあります。
・古いバージョンで正しく開けない
・送付相手が同じバージョンを使用しているとは限らない
・Microsoftのさじ加減でいかようにでもできる
ある意味、情報資産をMicrosoftに人質に取られている状況とも言えます。
ODF形式で保存できるLibreOfficeであれば、その問題はクリアできます。
ITリテラシーの向上
MS Officeを使い込んでから初めてLibreOfficeを使用すると、戸惑いが大きいかもしれません。
川男は、挙動が微妙に違うことが受け入れられない人たちをたくさん見てきました。
彼らに共通していることは、皆さま手段的思考であるということです。
これはすごく平たく言うと、目的を達成する手段にこだわる人たちです。
例えば期日までにテーブル形式のシートを作成して提出する業務があったとして
この人たちは、「Excelなら枠組の作り方は簡単にできる」とか、「LibreOfficeはcsvファイルを開くと変な画面がいちいち出てきて鬱陶しい」とか言い出すのです。
でも業務の目的は、正しいデータを期日までに提出することのはずです。
細かい挙動にいちいち拘る必要など無いのです。
逆に目的思考の人や、漠然と何も考えていない人、本当に初めてオフィスソフトに触れる人などがLibreOfficeを使用すると、そこまで拒否反応がありません。
こういった人たちは、MS Officeで出来ていた動作と同等のことが出来ないか自分で調べたり、知っている人に聞いたりして覚えようとするのです。
この両者、どちらが最終的に費用対効果の高いパフォーマンスを発揮するか、基本スキルが向上するかは想像に難くないでしょう。
ちなみに、知っている人に聞く人にも大きく分けると2パターンあって
・考えるのが面倒だからわからないことがある度に聞く人
・自分で考えても解らないから聞いて覚えようとする人
このパターンがあります。
前者の場合はスキル向上は全く期待できませんね。
会社で導入できない理由
そうは言っても、すぐに導入できないからLibreOfficeも一般に広まらないわけです。
原因は
・知らないという恐怖、ブランド志向
・デファクトスタンダード(実質的な標準)がMicrosoft Officeとなっている
・サポートが無いため不安
これらが考えられます。
人は知らないものを眼の前にすると、恐怖を覚えます。
当然と言えば当然です。
ここから先が問題で、わからないことをリサーチする人はそういった心配がありません。そうでない人はいつまでも自分の殻に閉じこもってしまうんです。
また会社というのは常に相手があるもので
相手に合わせるという部分で導入まで踏み切れないということもあるでしょう。
ここでITリテラシーが活きてくるのです!
MS Office形式で送付できないけど正しく表示させたい場合...
・別の形式に変換 (csv, pdf等)
・pdfとodfファイル両方を送付
やり取りや利用を続けることで多くの発見ができます。
手段思考の人たちにはここに視点が向かいにくいようです。
しかし、どうしてもファイル形式が指定される業務もあると思います。
そういうやり取りが必要な部門には両方のソフトをインストールすれば良いのです。
別にLibreOfficeを導入したからMS Officeを消す
ということが強制されるわけではありません。
フレキシブルに対応するだけでいいのです。
ベンダーロックインから脱却へ
オープンソースソフトウェアを使うことには大きな意義があります。
ベンダーロックインからの脱却です。
極端な人たちは、"完全脱却" ありきでこの考えを否定してきます。
そうではなくて、ベンダーとの程よい距離感を保ちつつも
できるところは内製化、利便性の高い(効率が良い)部分はベンダーに依頼
これで良いのではないかと思います。
もちろん、依頼した部分に関しては常に代替手段についても検討しておくとより安全ですね。
最近、行政のベンダーロックインについての記事もありました。
行政が積極的にオープンソースソフトウェアを活用するようになれば、民間のシェアも広がっていくと思います。
なぜなら、申請書類の文書ファイルもODFに対応するようになれば
行政とのやり取りのためにに敢えて有料のオフィスソフトを購入する必要がなくなるからです。
今後は、一部の何かに依存するようなものに対する考え方を見直していく必要がありそうですね!
以上、かわおでした。